一人用マーダーミステリーゲームブックを作ってみたくて、とりあえず書いてみた試作品。
あらすじは以下のような感じです。
図書委員の本間は、図書室で持ち主不明の日記を発見。中を見てみると、どうにも不穏な記述が目立つ。日記の日付が六年前になっていたため、当時、同じ学校に通っていた家族にそれとなく話を聞いてみると、一つ下の学年で、同じ日に二人の自殺者が出た事件があったという……。
以下、本文。
あなたは図書委員を務める高校生、本間です。
本間は先日、書物の整理中、図書室の書棚の奥から、持ち主不明の日記を発見しました。
最後に書かれた日記の日付は六年前。「二十三時、いつものところで」というメモが貼り付けられ、教師と夜の学校で密会をする予定だという内容が記されていた。
遡って日記を読んでいくと、どうやら日記の持ち主は、教師と恋愛関係にあったばかりか、浮気を疑い、教師と共にライバルを殺害する計画を立てていたようだった。
事件の匂いを感じた本間は、当時、同学校の生徒であった家族に、当時のことをそれとなく尋ねた。
当時、三年生だった家族の話によると、二年生の生徒が二人同時に自殺をした事件があったらしい。当初は殺人の疑いもあり、地域一帯が物々しい雰囲気になっていたという。いつ頃のことかと尋ねると、最後の日記が書かれた頃と同時期だった。
ひょっとして、この日記は、自殺した二人の生徒、どちらかの持ち物だったのではないか。
そんな話を級友の梶取に聞かせると、新聞部である梶取は、「隠された真実を暴くことができるかも!」と、この件を調査しようと言い出した。
日記から、持ち主が当時、球技系の部活に所属していたことがわかっていたため、バスケ部顧問の中村、野球部顧問の小林、バレー部顧問の田中、テニス部顧問の佐藤、サッカー部顧問の伊藤あたりが怪しいと、梶取は一人盛り上がる。
あまり気乗りのしない本間は、梶取に引き摺られるようにして、調査に協力することになった。
さて、なにを調べよう?
→ネットで当時のニュースを検索する
→新聞部の部室で当時の学校新聞を調べる
【ネットで当時のニュースを検索する】
ネットで事件を調べてみると、当時のニュース記事をいくつか見つけることができた。
死んだ生徒は、寺戸と羽鳥。
二人の自殺が発覚したのは、最後の日記が書かれた日の翌日。
寺戸は、学校の中庭で遺書と遺体が発見され、飛び降り自殺を計ったと推測。
羽鳥は、学校の近くにある公園で遺書と遺留品のみが見つかり、遺体は出ていない。公園は海に面した崖の上にあり、自殺の名所として有名。海流の影響で、遺体が上がらないことでも知られている。
→図書室で自殺した二人の学年の卒業アルバムを調べる
→新聞部の部室で当時の学校新聞を調べる
【図書室で自殺した二人の学年の卒業アルバムを調べる】
ニュース記事で見た顔と名前を頼りに、卒業アルバムから寺戸と羽鳥の写真を探すが、
二人は載っていなかった。
部活の顧問を名前を控えておくことにした。
当時の顧問は以下。
バスケ部顧問 中村
野球部顧問 小林
バレー部顧問 伊藤
テニス部顧問 田中
サッカー部顧問 佐藤
また、教育実習生の空閑が、卒業生としてアルバムに載っていた。
梶取が一通りの調査が終わったら、実習生に話を聞こうと言い出すので、しぶしぶ同行することにした。
→ネットで当時のニュースを検索する
→新聞部の部室で当時の学校新聞を調べる
→一通り調べ終わった
【新聞部の部室で当時の学校新聞を調べる】
学校新聞からは、自殺者について書かれた記事が一つも見つからなかった。学校側が掲載を許さなかったのだろう。
そのかわりになのか、事件のあった時期から二、三年の間、体育館に消える人影、度々荒らされる運動部の部室、勝手に開くシャワー室のドア、夜に学校中を徘徊する人魂など、怪談の類いの記事が多く掲載されていた。
【一通り調べ終わったので、実習生に会いに行く】
放課後、梶取が実習生の空閑を呼び止め、事件について尋ねると、空閑は「夕飯の材料を買いながらでよければ」と、意外にもあっさりと、当時のことを話をしてくれた。
空閑は羽鳥と友人関係にあったようで、羽鳥のことをよく知っているようだった。
寺戸と羽鳥は、クラスが別で、共通の友人もなく、部活も、羽鳥はバスケ部、寺戸はバレー部だったため、接点がなかった。
羽鳥から交際相手がいたという話を聞いたことはなく、そういった様子もなかった。
羽鳥は同居中の親族から虐待を受けていたが、自殺をするような人物ではなかった。
同時に二人も自殺者が出たということで、当初は殺人も視野に入れて捜査されたが、結局自殺として処理され今に至っている。
一通り話した空閑は、最後に、「もし何か発見があったら」と、この事件に興味を持って、熱心に取材していたという記者の名刺を見せてくれた。
【記者に連絡を取り、情報交換をする】
名刺にあったアドレスに連絡を入れると、記者は興味を示し会いに来て、事件について話してくれた。
発生当初、警察は事件を自殺と断定した。
しかし、同日に二人も自殺者がでたことや、二人のスマホが見つからなかったこと、見つかった遺書が、二つともパソコンで作成されている上、曖昧な内容だったことなどから、記者は事件を不審に思った。
記者が取材を始めると、羽鳥の遺書が見つかった公園で、焼け焦げた包丁と制服を発見し、警察に届けた。
燃やされていた影響で、包丁から指紋は発見されなかった。
制服のポケットには生徒手帳が入っており、また燃え残った部分の血痕からDNAが検出され、羽鳥の遺留品と断定された。
羽鳥の遺留品が出たことで、警察も事件性を感じて捜査を再開。
寺戸の遺体から頭部に殴られたような傷が発見されたが、凶器は不明。
羽鳥と寺戸が殺し合っただとか、一方が他方を殺して後悔から自殺したとか、二人を殺した第三者がいるとか、様々な可能性を検討したがどれも辻褄が合わず、証拠も出ないため、結局、自殺と結論づけた。
羽鳥について尋ねると、記者の取材でも空閑の話と似たような情報が出たと話してくれた。また、空閑は理事長の親族であり、また、羽鳥とは相当親しかったため、当時はかなり捜査に協力してくれたという。
寺戸については、友人らに話を聞いたが、羽鳥同様、交際相手がいる様子はなく、また、自殺するような人物ではなかったという。羽鳥と違い、家庭環境も悪くはなかったそうだ。
記者に日記を見せると、日記に出てくる教師が、真犯人なのではないかという話になり、紙についた指紋は何年も残るから、日記に張り付けられたメモの指紋が証拠になるのではないかと、怪しい教師の指紋を入手してくれないかと持ちかけてくる。
そうは言っても、指紋を取るには、何かしら物に触らせるか、触った物を盗ってくる必要がある。指紋を採るのは一人が限度だ。
これまで得た情報と、日記の記述から、持ち主と、教師を特定し、指紋を採取しよう。
【これまで得た情報】
・ニュース
死んだ生徒は、寺戸と羽鳥。
二人の自殺が発覚したのは、最後の日記が書かれた日の翌日。
寺戸は、学校の中庭で遺書と遺体が発見され、飛び降り自殺を計ったと推測。
羽鳥は、学校の近くにある公園で遺書と遺留品のみが見つかり、遺体は出ていない。公園は海に面した崖の上にあり、自殺の名所として有名。海流の影響で、遺体が上がらないことでも知られている。
・卒業アルバム
当時の球技系部活の顧問
バスケ部顧問 中村
野球部顧問 小林
バレー部顧問 伊藤
テニス部顧問 田中
サッカー部顧問 佐藤
・学校新聞
事件のあった時期から二、三年の間、怪談の類いの記事が多く掲載。
・実習生
寺戸と羽鳥は、クラスが別で、共通の友人もなく、部活も、羽鳥はバスケ部、寺戸はバレー部だったため、接点がなかった。
羽鳥に交際相手がいた様子はなかった。
羽鳥は同居中の親族から虐待を受けていたが、自殺をするような人物ではなかった。
当初は殺人も視野に入れて捜査されたが、結局自殺として処理された。
・記者
発生当初、警察は事件を自殺と断定した。
二人のスマホは発見されなかった。
見つかった遺書が、二つともパソコンで作成されている上、曖昧な内容だった。
記者が取材を始めると、羽鳥の遺書が見つかった公園で、焼け焦げた包丁と制服を発見した。
燃やされていた影響で、包丁から指紋は発見されなかった。
制服のポケットには生徒手帳が入っており、また燃え残った部分の血痕からDNAが検出され、羽鳥の遺留品と断定された。
寺戸の遺体から頭部に殴られたような傷が発見されたが、凶器は不明。
警察は再捜査を行ったが、結局、自殺と結論づけた。
寺戸は、羽鳥同様、交際相手がいる様子はなく、また、自殺するような人物ではなかった。しかし羽鳥と違い、家庭環境は悪くなかった。
【日記の記述】
部活のあとでボールを片付けるのがダルい。
先生がアームスリーブをプレゼントしてくれた。腕のグロいアザが隠せて良い。
寝てる先生とツーショットを撮った。ホーム画面にしたいけど我慢。
最近はあまり腕にアザができない。上達した?
先生が浮気をしている。この前の写真で脅して、一緒に浮気相手を殺してもらおう。
先生には教育が必要だ。勝手にスマホの写真を消した。この日記を学校に隠して、関係をバラすと脅そう。
【推理1】
日記の持ち主は寺戸、羽鳥、どちらだろう?
もう一度、情報を確認してみようか?
【推理2】
日記の持ち主が寺戸だとすると、問題の教師は誰だろう?
→バスケ部顧問 中村
→野球部顧問 小林
→バレー部顧問 田中
→テニス部顧問 佐藤
→サッカー部顧問 伊藤
【推理2】
日記の持ち主が羽鳥だとすると、問題の教師は誰だろう?
→バスケ部顧問 中村
→野球部顧問 小林
→バレー部顧問 田中
→テニス部顧問 佐藤
→サッカー部顧問 伊藤
【照合】
記者に指紋がついていそうなプリントと日記を渡した。
知り合いの刑事に、プリントと日記に貼ってあったメモの指紋を比較してもらうという。
指紋を照合した結果、二つの指紋は一致しなかった。
推理が間違っていたのだろうか?
BADEND
【違和感】
日記の持ち主は羽鳥で、顧問は伊藤。
なんだろう、どこか違和感を感じる。
考え直してみよう。
【照合】
記者に指紋がついていそうなプリントと日記を渡した。
知り合いの刑事に、プリントと日記に貼ってあったメモの指紋を比較してもらうという。
指紋を照合した結果、二つの指紋は一致した。
自宅に隠し持っていた寺戸のスマホが決め手となり、まもなく伊藤は逮捕されることとなった。
伊藤は寺戸殺害の容疑を認めたが、羽鳥については一切の関与を否定したという。
そもそも羽鳥は殺されたのだろうか?
【自殺に違いない】
伊藤が関与していないとしたら、やはり羽鳥は自殺ということになるだろう。
本間はそう結論づけた。
その後、羽鳥の件について再度捜査が行われることになった。
結果、当時同居していた親族が逮捕され、勾留中に自殺したと報道された。
END
【殺されたとしたら】
殺されたとしたら誰に?
怪しい人物はいただろうか?
→バスケ部顧問 中村
→野球部顧問 小林
→バレー部顧問 田中
→テニス部顧問 佐藤
→空閑
→親族
【違和感2】
だとすると、動機はなんだろう?
なにかがおかしい気がする……
その後、羽鳥の件について再度捜査が行われることになった。
結果、当時同居していた親族が逮捕され、勾留中に自殺したと報道された。
END
【親族が殺した】
羽鳥は親族に虐待されていたという。
だとすれば、なにかのはずみで殺してしまってもおかしくはない。
殺人を隠蔽するために、遺体の上がらない自殺の名所に遺書を置き、血のついた服や凶器を燃やして、遺体を投げ捨てたのではないか?そう考えると、しっくりくる。
その後、羽鳥の件について再度捜査が行われることになった。
警察も、本間と同じ結論に至ったらしい。当時同居していた親族が逮捕され、勾留中に自殺したと報道された。
END
【羽鳥は生きている】
空閑は、羽鳥が親族に虐待されていたと話していた。
記者の取材でも、そういう認識をしていた者が多かったという。
羽鳥は虐待に耐えかね、自殺を偽装し、失踪したのではないだろうか?いや、もしかすると、記者が発見した遺留品によって、親族に殺人の疑いがかかることを望んだかもしれない。
だとすると、羽鳥はどこに?
【羽鳥は学校に潜伏している】
学校には身を隠す場所が多い。
鍵がかかっていて、普段は使わない倉庫なら、人が立ち入ることはほぼなしし、水やトイレに困らない。その上、シャワー室もある。学食に忍び込めれば、食料を手に入れるのも簡単なはずだ。
事件発生から数年間、学校新聞に数多く掲載された怪談記事、更衣室を荒らしていたのはおそらく伊藤だろうが、その他の場所に出た幽霊の正体は、実は羽鳥だったのではないか。
だが、そんな暮らしが成り立つには、少なくとも倉庫や食堂の鍵が必要になる。
それを羽鳥に渡した人物がいたとすれば……
→バスケ部顧問 中村
→野球部顧問 小林
→バレー部顧問 田中
→テニス部顧問 佐藤
→空閑
【違和感3】
確かに、鍵は入手できそうだが、大人のすることだろうか?
【空閑が鍵を渡した】
空閑は理事長の親族だという。
「将来のために色々知りたい」とでも言えば、鍵の保管場所や、使われていない学校施設の情報など、あらゆる情報を引き出せたのではないだろうか?そうして潜伏場所の目星をつけ、鍵を複製し、羽鳥を匿うことにしたのではないか?
だが、何年も学校で暮らすというのは無理がある。
おそらく、親族が逮捕され、安全が確保されるまでの期間、一時的に隠れるつもりだったのだろう。ところが、計画を実行に移した当日、寺戸が伊藤に殺される事件が起こり、長期間の潜伏を余儀なくされたのではないか?
だとすると、羽鳥は今……
【羽鳥は空閑宅にいる】
空閑は夕飯の材料を購入していた。
今思えば、購入していた食材は、実家暮らしのお使いにしては少なく、一人暮らしにしては多かったように思える。
事件発生当初から今に至るまで、空閑はずっと、友人である羽鳥を匿っているのではないだろうか?
いや、流石に、考えすぎか?
思い悩みつつ過ごす本間の耳に、羽鳥の件について再捜査がなされた結果、当時同居していた親族が逮捕され、勾留中に自殺したという報道が飛び込んできた。
【後日】
羽鳥の親族が死亡したという報道の数日後、羽鳥はひょっこり戻ってきた。
やはり、虐待に耐えかねて、自殺を偽装し、身を潜めていたらしい。
その後、本間は、街で楽しげに並んで歩く羽鳥と空閑の姿を、何度か目撃した。
TRUEEND
難易度は低めだったと思いますが、いかがでしょう?
完成したらゲームブック版と、小説版、二つ出す予定なので、オチは二つつけてみました。
この他のオリジナル百合小説はこちらへ。
オリジナル百合小説目次
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