2018
7
Aug

百合小説

沖ノブ(fgo)百合小説(途中)ハイエナ設定魔人親子話


「お先に失礼します。」

定時きっかり。同僚たちに短く挨拶をして、私はオフィスを出る。
足速にエレベーターホールへと急ぎ、ボタンを連打したところで、営業さんが出張のお土産にくれたお菓子をデスクに忘れたことに気付いた。今日は金曜日なので賞味期限が心配だなと思った私は、お菓子を回収するべく、また速足でオフィスへ引き返す。

「沖田さんっていっつも帰り早くないですか?」

「仕事早いからねぇ。それにお子さん産まれたばかりっていうから、大変なんでしょ。」

社員証でドアを開けると、パーテーションの向こうから、同僚たちの声が聞こえた。私についての噂話らしい。
今出ていくのは気まずいだろうか?どうしようかと迷っているうちに、その会話は進んで行く。

「あと、あれよ、未婚だからシングルらしい。」

「え!?あの人シングルなんですか!?あれ?でも指輪してますよね?」

「んー、なんか売れないバンドマンだか、俳優だかと事実婚らしいって聞いたけど…」

「うわー、かわいそー。若いのにヒモ養ってるとか…。孕まされて働かされてって、相当な悲惨コース行ってますねー」

「ねー、せっかく美人に生まれたのにもったいないよね。せめて子持ちじゃなければアタックしたのになー。」

可哀想だのと言いつつ、同僚たちの声はとても嬉しそうに聞こえる。
付き合い切れないと思った私は、さも何も聞いていなかったかのようにデスクまで行ってお菓子を回収し、あわあわしている同僚たちに普通に挨拶をして、再びオフィスを後にし、駅へと急いだ。

帰りの電車に揺られながら、私はあのくだらない噂話を思い出す。
事実を知ったら、あの同僚たちはどんな顔をするだろうと考えると、可笑しくてニヤニヤしてしまった。

養って?孕まされて?働かされてる?
残念!全部ハズレです!

そんなことを考えながら、帰り道のスーパーでセール品の野菜やお肉を買って、自宅の1LDKマンションへと帰ってくる。静かに玄関の鍵を開けて中に入り、また鍵をかけ、そろそろと薄暗いリビングへ足を踏み入れると、丸いラグの上に長い髪を散らして仰向けに倒れている愛しい人の姿が目に入った。

「…ノッブ、起きてますか?」

「……んぉぅ、総司ぃ…、今、何時じゃ…?」

寝ているかと思い、傍らに膝をついて小声で声をかけてみたが、どうやら起きていたらしい。呻くように時刻を尋ねるノッブに、18時ですよ、と伝え、明かりをつけてもいいかを訪ねる。ノッブが頷いたので、私はカーテンを閉め、リビングの照明を付けた。

「お昼ちゃんと食べました?まーちゃんそろそろおっぱいだと思いますけど、連れてきて大丈夫ですか?」

「…んー、少し…、もうちょっと…、泣くまでは…そっとしといてくれ…」

ノッブは心底眠たそうに、クッションを抱きしめて丸くなってしまう。このところろくに眠れていないのだから無理もないのだが、愛しい我が子の顔を見たかった私にとっては、そっとしておけという返答は少し残念だった。
私は丸まったまま動かないノッブにブランケットをかけ、キッチンの明かりをつけて、リビングの明かりを消すと、部屋着に着替えて夕食の準備に取り掛かる。といってもノッブのお昼ご飯にと作っておいた具沢山味噌汁がかなり余っていたので、冷凍のご飯と、常備菜と一緒に温めるくらいしかすることはない。あっという間に準備が終わり、ノッブに、ご飯食べられますか?と声をかけようとしたとき、和室から泣き声が聞こえだした。

私はダッシュで和室へ駆け込み、手足をバタつかせて泣きわめく小さな体を抱き上げた。よしよしと声をかけてゆすりながらリビングへ戻ると、ノッブが低く唸りながら身体を起こしたので、ゆっくり慎重に腕の中の柔らかさをノッブの腕に渡す。
ノッブは気だるげに着ていたシャツのボタンを外し、乳房を露わにして授乳を始める。ノッブには言えないが、その一連の所作は、なぜだか私にはとても淫靡に感じられ、この光景を目にする度、胸にどくどくと不思議な高鳴りを覚えるのだった。

「……総司、肩…」

「へ?あぁ、はいはい。」

私は劣情を悟られぬよう平静を装って、ノッブの身体を斜め後ろから抱きしめた。ノッブは私の肩に頭を預けて、重そうだった瞼を完全に閉じる。甘ったるい香りがくすぐったい。

「……腹減った。」

「もう食べられますから、おっぱいあげ終わったら食べましょうね。」

「…風呂入りたい。」

「食べたら入れてあげますよ。」

「…だるいから、全部洗って。」

「はいはい。ノッブったら最近赤ちゃんみたいですね。」

私は大きな赤ちゃんの髪を撫で、おでこに唇を押し当てながら、小さな赤ちゃんがお腹いっぱいになるまで、その身体を抱きしめていた。


生まれたての魔人さんと沖ノブ夫婦。ノッブが産んでて授乳とかしちゃってると思うだけで、形容しがたい昂ぶりを覚えるおいら。妊婦なノッブはあんまりなんだけど、乳飲み子抱えて育児疲れでぐったりしてるノッブってとてつもなくセクシーだと思うんご。なぜかはわからんがすごく萌える。

まーちゃんは魔人さんだからまーちゃんなんですが、名前はたぶん誠とかだろうと思います。二人目は沖田産のノッブ似で、名前は仁(しのぶ)とかでどうだろう?推しカプの子供の名前考えるのクソ楽しい。

ちょっとでもいいなと思ったら、記事下のソーシャルボタンから拡散していただけるとありがたいです!

クリックで試し読み!
↓↓↓↓↓
MURCIELAGO -ムルシエラゴ-

 
コメントは利用できません。