2018
28
Aug

百合小説チャット式

沖ノブ(fgo)チャット小説 残念ノッブの対沖田脳内会議


私、藤丸立香は悩んでいた。
つい先日、心でも読めたらもっとサーバントたちのケアができるのに、とうっかりダ・ヴィンチちゃんに漏らしたところ、光の速さで『心が覗けるメガネ』なるアイテムが開発され、先ほど手渡されたところだった。
確かに心が読めたら、みんなのことをより理解できるだろうし、微力だとしても力になれることも増えるかもしれない。でも心を覗くなんてプライバシーの侵害以外の何物でもないわけだし、実際使うとなると、やはり気が咎めるのだった。

 

うんうん、と唸りながら食堂へと足を運ぶと、数名のサーバントたちが談笑していた。
その中に色物代表のあの人、織田信長の姿があった。いつも一緒にいる沖田総司の姿がないためか、普段よりは少し大人しく騒いでいる。

 

そういえばノッブと沖田さんって、いっつもケンカしてるんだよね。もうちょっと仲良くしてくれたらいいのに。
そうだ、ノッブなら心を覗いてたのバレても、面白いって言って許してくれそうだし(まぁ後が怖いけど)、ちょっとだけ試させてもらおうかな。

ノッブ、ごめんね!

 

私は心の中で謝りながら、食品棚を物色するふりをしつつ覗きメガネを起動し、ターゲットをノッブに設定した。

 

童心
あー、つまらんのじゃー、沖田がおらんとつまらんのじゃー、のう、今からでも叩き起こして連れて来ようぞー
理性
バカを言うな。そんなことをしたら回復が遅れるじゃろうが。ここは大人しく、このプリンを差し入れてやるくらいにしておくのじゃ。
童心
そのプリンはわしがもらった物なんじゃが?今食べたいんじゃが?持って帰って沖田にやるなんて言語道断なんじゃが?
魔王
騒がしいぞ童心、半分食って残りをくれてやればよかろう。いずれにせよ食うのは戻ってからじゃ。懐にでもしまっておけい。

 

あれ?いつもケンカしてるはずなのに、ノッブって意外と沖田さんに優しい?
ていうかこの表示形式なに?心の中の天使と悪魔が~みたいになってるけど。いるの魔王だけど。なんだ魔王って。

 

いや、待って、ノッブって他の人とあんなに楽しそうにおしゃべりしてるのに、沖田さんいなくて退屈とか思ってるの?もしかして意外と仲良し?
あ、またなんか変なの出てきた…。

 

色情
そして持ち帰ったそのプリンを、食べさせてやると言って事故を装い、胸元に一口落として、わしは落ちたそのプリンを淫らに舐めとって、ドキドキムラムラと発情した沖田を押し倒し、抱いてしまうというわけじゃの!
理性
いや、沖田は童じゃからそういう反応はせんじゃろ…。きょとんとするだけじゃろ…
色情
じゃがしかし、わし、そろそろ沖田にそういうことしたいんじゃが!顔好みじゃし、乳でかいし!それに、あやつはまだ肌を合わす悦びを知らんのじゃぞ?教えてやるのが親切というものじゃろ?わし超床上手じゃし、一度ヤってしまえば、その後は万年発情期に突入ってなモンじゃろ!
理性
確かに沖田は欲望に忠実なところがあるとは思うが、意地っ張りじゃし、負けず嫌いじゃし、強引にヤっては良好な関係は維持できぬやもしれんぞ?童心は沖田と遊べなくなったら嫌じゃろ?
色情
いやいや、逆じゃろ~?できる遊びが一つ増えるだけじゃて。童心も遊びの種類が増えた方が嬉しいじゃろ?
童心
うむー、うむー、わし、沖田と釣り勝負とか、早食い勝負とか、たくさん約束があるからのう。遊べんくなるんは嫌じゃのう
理性
ほれみい、童心は襲うの反対じゃぞ
色情
ふん、勝った気になるでないぞ、理性。わしにも味方はおるんじゃ。恋慕、貴様もなんか言ってやれい!
恋慕
わし、沖田の顔が見たくなったから、部屋に戻りたいぞ
色情
ほれみい、恋慕はわしの味方じゃぞ!
理性
味方したか?しとらんじゃろ?そいつ単に願望述べただけじゃろが!
色情
んあーー!わしは沖田とヤりたいんじゃーー!!
恋慕
んなーー!わしは恋仲になりたいのじゃーー!!
色情
見たか!微妙に違うがわしらは仲良し!
恋慕
なのじゃ!イェイ☆

 

なんだこれわ。
ノッブらしいといえばらしい気もするけど、織田信長さまともあろうお方の脳内が、こんなに残念なことになっていていいのかな…。また本能寺されるヤツじゃないコレ…。

なんて、ちょっとノッブの頭が心配になったけど、食いつくところはここじゃないよね、やっぱり。

 

ええーーー!?ノッブって、ノッブって沖田さんのことをそんな風に見てたの!?子供のケンカみたいなやり取りしか見たことないけど、そんなアダルトなこと考えてたの!?
ええーー?いつから?沖田さんは知ってるの?部屋同じにしてるの大丈夫かな?私はコレ応援するべき?覗いちゃったわけだし、罪滅ぼし的にも応援するべきだよね?
ていうか、どういうところが好きなのー?とかそういう恋バナ的なのしたい!二人っきりのときは普段と違ってケンカしてなくて、逆に仲良し(意味深)しちゃってるの?とか問い詰めたい!

 

いやいや、待って、落ち着いて私。
ノッブを恋バナに誘う前に、まず、応援団として沖田さんの方の気持ちを探らないと!
え?プライバシーどこ行ったって?そんなもの恋のキューピッドの前では、犬の眉毛の数くらいどうでもいい存在でしょ!

 

早速、沖田さんの方も覗きに行こう。そう思ったそのとき、沖田さんが食堂にやってきた。なんて良いタイミング!
じゃあターゲットを沖田さんに切り替えて…、ん?ノッブの頭の中がさっきより騒がしい気が…。

 

童心
沖田じゃー!沖田が出たぞー!遊ぶのじゃー!火縄を持てい!
色情
ええのう、ええのう、場が華やぐのう。Tシャツというのは、和装とはまた違った色香があって良いのう。乳が潰れぬし!
恋慕
愛いのう、愛いのう、愛でたいのう。膝に乗せて、髪でも撫でてやりたいのう。
理性
ええい、沈まれ貴様ら、沖田は病み上がりじゃぞ!

 

あー!ノッブが盛り上がっちゃってるー!
でもわかるー!好きな子が視界に入るとテンションあがっちゃうよねー!

 

魔王
よし、貴様ら、会議を始めよ
理性
ではこれより、第481516回、対沖田対策会議を開催する!!テーマは『なんて声をかけるか?』じゃ!

 

は?え?ここで脳内会議始まっちゃうの?
いや、うん、確かに意識してると日常会話のひとつひとつを悩んだりもするよ?
ていうか魔王が会議招集するんだ??

 

理性
まずは一人ずつ意見を申してみよ
色情
「治ったのなら伽をせい!」の一択じゃな!
恋慕
うつけか色情!うつけか!そんなこと言ったら、沖田がどん引くかもしれんじゃろ!好感度を考えよ!ここは「身体はもう良いのか?」と情のあるところを見せて…、沖田があんまり具合が優れんようじゃったら、なんじゃ、その、こう、「無理をするな」とか言って肩でも抱いてじゃな…
見栄
うつけは貴様じゃ、恋慕。第六天魔王のこのわしが、沖田ごときを気遣ってどうするんじゃ!第一、好意を悟られでもしたらどうする?格好悪いじゃろ!
童心
プリンがあるし、いつぞややったストローで食う勝負をまたやるのも面白いのではないか?
魔王
ふむ、好意を悟られず、かつ、今後閨事に持ち込める可能性を高めつつ、プリン吸い勝負に持ち込むと…、なんぞ策はあるか?
策略
いや、プリン吸い勝負とか意味わからんのじゃが?
魔王
ならば見栄よ、ここは貴様に任せよう

 

ノッブ
なんじゃ、沖田。コフーッはもう良いんか?まだ寝腐っとった方が良いのではないか?貴様ただでさえ病弱のクソステなんじゃし?
沖田
ノッブ、斬られたいんですか?

 

ポンコツか!ポンコツなのかあの魔王!!
なにその采配?よりにもよってどうしてここを見栄に任せた?策略役に立たなすぎじゃない?ていうかノッブ頭の中うるさすぎじゃない?何人いるの?
あぁもう、沖田さん怒ってるよ?好感度下がってるんじゃないかなぁ…。

 

私はターゲットを沖田さんに切り替えて、ノッブの隣に座った沖田さんの脳内をチェックする。

 

怒っ太
まったく、ノッブは、まったく!
斬り太
もうちょっと回復したら絶対斬ってやりますからね!!

 

あー、やっぱり怒っちゃってるよー。もう名前が怒っ太に、斬り太だもん。
脈があるかどうか以前の問題だよね、これじゃ…。

 

怒っ太
大体ノッブが部屋にいてくれたら、沖田さんが重い体を引きずって食堂まで来ることなかったとか思わないんですかね?目が覚めたとき一人だったら寂しいだろうなーとか、仮にも相棒ならたまにはそういう気遣いを見せて欲しいものですよ!
斬り太
どうします?怒り私?やっぱり今斬っちゃいます?
怒っ太
いいえ、斬り私。本調子じゃありませんし、食堂だと他の方の迷惑になっちゃいますから、ここは我慢しましょう。
ネガ太
返り討ちにされたら落ち込んじゃいますしね…。というか私、しょっちゅうコフッてるから、ノッブは相棒とかライバルとか思ってないんじゃないですかね…。きっとそうに違いありませんよ…。だから私を置いて一人で食堂のみなさんと楽しそうにおしゃべりしてるんですよ…。そのうちあのアサシンとばかり遊ぶようになるんですよ…。
怒っ太
う…、そ、そんなことは…。あぁ、でも、そうなのかも…
斬り太
うう…、病弱が憎い…

 

あれあれあれ?沖田さん?沖田さん?
なんかすごく暗い子がいるけど大丈夫?え?なんか釣られてみんな暗くなっちゃってるけどどうしたの?

 

ノッブ
沖田、貴様何しにきたんじゃ?
沖田
……お茶とか甘い物とかいただけないかと思いまして…。あ、紅茶いただきます。
ノッブ
ふはは、甘味か。今日の分はついさっきなくなったぞ。残念じゃったのう。ちなみにプリンじゃったぞ。
沖田
そういうの言わなくていいですから

 

あー!今沖田さん超絶ネガティヴモードなのに煽っちゃダメー!何考えてるんだノッブの魔王!?何も考えてないのか!じゃなきゃ玉砕目指してるの?

 

怒っ太
ムカつく!ノッブムカつく!なんなんですか!絶対沖田さんがプリン好きなの知ってて言ってますよね!
斬り太
これはもう斬っていいヤツじゃないですか?他の方のご迷惑についてはノッブを斬った後で謝ればいいんですし!

 

あああああ、またケンカが始まっちゃうヤツだ、コレ。
やっぱりこの二人に仲良くしてもらうなんて無理なのかも…。

 

ノッブ
じゃがここに、わしのプリンがひとつある。わしのじゃがの。

 

おい!魔王!何してんだ魔王!
この上見せびらかして何をしたい!?好感度気にしてたヤツどこに行った!?

 

ノッブ
どうじゃ?欲しくば奪いに来ても良いのじゃぞ?まぁ、返り討ちにしてやるんじゃがのう
沖田
無明三段突き!
ノッブ
おおおあああ!不意打ち!不意打ちすぎじゃろコレ!
沖田
問答無用!―――コフッ!
ノッブ
ぶはははは!なんじゃ、まだ全然回復しとらんではないか、ざまぁないのう!

 

駄目だこいつ…早く何とかしないと…
いや、もう手の施しようがないヤツじゃない、コレ?
キューピッドがガトリングガン持ってきても無理なレベルじゃない?

うん、そうだ、そうに違いない。私ごときが頑張ったところで、この恋の成就は不可能!ごめんね、ノッブ!

 

ノッブ
ほれ、帰るぞ、沖田。良くなるまで寝とれ。プリンは一口だけくれてやる。
沖田
わ!ちょ…!なに担いでるんですか!自分で歩けますから!というか、そこは半分って言うとこじゃないですか?

 

私が完全にノッブの恋の応援団を降りたとき、ノッブは沖田さんを肩に担いでスタスタと食堂を出て行った。二人はまだギャーギャーと言い合いをしているようで、廊下に出ていってからも声が聞こえていた。
その声で、沖田さんがもう怒ってないようだなと思った私は、無駄だろうなと思いながらも一応最後に沖田さんの心をチェックしておこうと、廊下に顔を出す。

 

ポジ太
やりましたねー、見事プリンをせしめましたよ!沖田さん大勝利~!
斬り太
なんだかんだ言って、ノッブは甘いですからね!運んでくれちゃってますし!まぁ回復したら斬るんですけど!
ポジ太
そうそう、ノッブは沖田さんのこと大好きですから!きっとプリンも沖田さんのために確保しに来てくれたんですよ!
斬り太
あはは、それはないですよ、ポジ私。
ポジ太
あはははは、それもそうですねー

 

なくないよ!そっちであってるよ沖田さん!
ていうか、完全脈なしと思ったのに、なんかまんざらでもない感じじゃない?
これはもしかすると、ちょっと頑張ればくっつけられるヤツかも!
ノッブ!私やっぱり、この恋応援するよ!

華麗な手のひら返しをキメた私は、今後の作戦を練るため、自室へと戻るのだった。


バカみたく手間がかかった割には微妙な仕上がりになりました。
もっと百合百合しく、かつ、爆笑取れる感じにしたかったのに無念であります。
せっかくアイコン作ったからもうちょっとこのシリーズ続けたい気もするんですが、なかなか難しいものです。やっぱり家臣としては、殿を残念な感じにするというのがハードル高くてイマイチ振り切れないんですよね。まぁ続くかは評判とノリ次第という感じかなと。

他の沖ノブ、ノブ沖作品はこちらへ。
沖ノブ、ノブ沖作品1話リンクまとめ

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MURCIELAGO -ムルシエラゴ-

 
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